導入のメリット

財務情報に関して、XBRLが導入されることにより、財務情報の利用者である投資者や、財務情報の作成者である上場会社、さらには、財務情報の提出機関である証券取引所等において、次のような効果が発揮されることが期待されています。

財務情報の利用者(投資者、アナリスト、情報ベンダー等)

財務情報を利用する場合、現在はPDF、HTML形式等で提供された同情報を改めてデータ入力し、入力したデータを確認する作業が必要であり、投資者や投資者に情報を提供する情報ベンダー等は、このために多くのコストと時間を費やしていました。また、財務情報を情報ベンダー等から購入する場合でも、ベンダー等が実施したデータ入力、確認等のための費用を間接的に負担することとなります。

一方、XBRL形式により提供される財務情報は、財務情報を構成するそれぞれの数値情報に、システムが自動的に認識できるタグが設定されているため、情報を改めて入力する作業が不要となり、利用者はXBRL形式により提供された財務情報をそのまま表計算ソフトに取り込み、迅速に分析や加工を行うことが可能となります。なお、XBRL形式により提供されるファイルに付されるタグ情報には、英訳された情報や会計基準の情報等も含まれているため、財務情報の自動翻訳や会計基準の表示、自動通貨換算等も可能となるなど、財務情報の利用方法が飛躍的に向上することが期待されています。

財務情報の作成者(上場会社等)

財務情報の作成者である上場会社等は、提出先から提示された様式や、利用者の状況に合わせて、財務諸表を編集・作成する必要がありますが、提出先や利用者のシステムがXBRL化する一方、将来的に、社内システムもXBRL 対応させることで財務諸表をXBRL 形式で自動的に作成することが可能となれば、財務諸表作成に要する上場会社の事務負担が軽減されることが期待されます。なお、現在、すでに決算短信用の財務諸表本表と有価証券報告書用の財務諸表本表は、提出ファイル形式がXBRL 形式となっており、さらに2014年以降は注記を含む財務諸表全体がXBRL形式に一元化されます。

また、前述のとおり、XBRL形式で作成された財務情報は、従来のPDF形式やHTML形式等で作成された財務情報と比べて、利用者の二次利用性が非常に高いと考えられるため、開示情報としての価値が格段に向上し、ひいては、上場会社が証券市場に期待する価格形成機能の向上に資するものとも考えられます。

財務情報の提出機関(証券取引所、監督機関等)

XBRL形式で提出される財務情報については、提出機関のシステムへ自動的に取り込まれ、各勘定科目の整合性のチェックをはじめとする財務情報の確認作業も、システムが自動的に実施することが可能になると期待されています。この結果、従来にも増して精度・信頼性の高い財務情報を取得することができるほか、システムに取り込まれたデータについては、従来よりも深度を増した企業分析等が可能になることから、監督業務の高度化にも資するものと期待されています。